Bluetoothで音声をワイヤレスで伝送するには圧縮して送る必要がある。圧縮方法は大きく分けて4種類あり、一般的なSBC、iPhone向けのAAC、Android向けのaptX、そしてSONY独自のLDACとなる。今回はこれらの違いを遅延・音質の性能をもとに紹介する。

また、aptXには遅延や音質に特化した派生型が存在あり併せて紹介する。
コーデックとは?
Bluetoothで音声データ送るときにデータを圧縮する必要があり、その圧縮方式の総称をコーデックという。コーデックの種類により、遅延や音質に違いがある。ちなみに、Bluetoothで”イヤホン”と接続する”端末”が同じコーデックに対応していないと使用することができない。
例えば、
- イヤホン:SBC・aptX対応
- 端末:SBC・AAC対応
の場合、イヤホンと端末はSBCの圧縮方式でしか接続できない。aptX対応の高価なイヤホンを購入しても端末側が対応していなければ宝の持ち腐れとなる可能性が高い。以下にコーデック一覧と特徴を載せておく。
コーデック種類 | 特徴 | 説明 |
SBC | 遅延:大 音質:普通 | 全てのワイヤレスイヤホンに対応 |
AAC | 遅延:中 音質:高音質 | iPhoneとAndroid 8.0以降に対応 |
aptX | 遅延:小 音質:高音質 | Android4.x以降に対応 |
aptX LL | 遅延:極小 音質:高音質 | 最も低遅延でゲームや動画視聴に最適 |
aptX HD | 遅延:小 音質:ハイレゾ相当 | aptXを上回る最高音質 |
aptX Adaptive | 遅延:小 音質:ハイレゾ相当 | ビットレート可変により接続安定性向上 |
LDAC | 遅延:極大 音質:ハイレゾ相当 | SONYが開発したサンプリング周波数96kHz対応のハイレゾ相当音質 |
■SBC
SBC(Subband Codec)は、全てのワイヤレスイヤホンやヘッドホンに対応しているコーデック。イヤホンや端末により遅延・音質に差は出るが、必要最低限の性能しか発揮できないものが多い。
「ゲームや動画視聴で使用したい」「良い音質で音楽を聴きたい」という方は、AAC,aptX対応イヤホンの購入をおすすめする。ただ中には、SBC対応で素晴らしい音質の製品もある。気になった製品は一度試聴したほうが間違いのない買い物となる。
■AAC

AAC(Advanced Audio Coding)は、遅延・音質性能がSBCより向上する。主にiPhone対応のため、iPhoneを主な端末としている方はイヤホン側もAAC対応かをちゃんと確認した方がよい。また、Android 8.0以降であればAAC対応端末もあるため、端末側の仕様も同じく確認した方がよい。
■aptX

CSR※が設計した独自のコーデックであり、SBC・AACに比べて原音再現性が高く、遅延も少ない。Android 4.x以降のスマホに75%対応している。ちなみに読み方は、アプトエックスでもエーピーティエックスのどちらでもよい。
残念ながらバッテリー消費量が大きく、連続再生時間の少ないイヤホンには不向きなのでご注意を。
SBCやaptXは100msを超える遅延が発生するが、aptX LL(Low Latency)は30~40msを抑えることができ約2~3倍遅延が少ない。ゲームは勿論のこと、Youtubeなどの動画とも相性が良い。
※CSR:Bluetoothチップの創業企業と言っても過言でない功績を残した企業。2014年にQualcommに買収されている。
■LDAC
SONYが新規開発した圧縮伝送方法であり、SBCの最大3倍の情報量を伝送できる。LDACに対応した機器間であれば、ハイレゾ音源だけでなくCD音源もワイヤレスで高音質なサウンドで楽しめる。

3つのモードを有しており、接続機器や通信環境に応じたサウンドを提供している。
- 音質優先:990kbps
- 標準:660kbps
- 接続優先:330kbps
※SBCは328kbps
まとめ
結論として音質はLDACとaptX HD、遅延はaptX-LLが優れている。使用する端末や用途を自分の中で整理して選んだ方がよい。今回はコーデックの違いを紹介したが、あくまで目安であり、最終的にはイヤホンの音質による好みで選んだ方が後悔しない買い物となる。都内の家電量販店やeイヤホンであれば、ほとんどのワイヤレスイヤホンやヘッドホンを試聴できるので購入前に足を運ぶべき。